個人事業主の頭を悩ませる確定申告。
非常に大変な作業ですが、避けては通れません。
個人事業主の方も会計ソフトを導入する事で、大幅に負担を軽減できるケースがあります。
今回は会計ソフトを導入すべきか、お悩みの個人事業主様に向けて、個人事業主向け会計ソフトを導入するメリット・デメリットを解説したいと思います。
当記事を参考に、会計ソフト導入の検討してみてください。
- 1. 会計ソフトを導入するメリット・デメリット
- 1.1. メリット
- 1.1.1. 確定申告の負担が軽減する
- 1.1.2. 税務会計・簿記の知識が必要ない
- 1.1.3. 法改正に対応してくれる
- 1.1.4. ミスを減らす事ができる
- 1.1.5. 事業に活かすことができる
- 1.1.6. 過去のデータをソフト内に保存して、すぐ引き出せる
- 1.1.7. データをリアルタイムで共有できる(税理士に任せている場合)
- 1.2. デメリット
- 1.2.1. 会計ソフトの費用がかかる
- 1.2.2. インターネット環境が必要
- 1.2.3. 最初から一人で完結することは難しい
- 2. 会計ソフトを導入し、青色申告の65万円控除を利用しよう!
- 3. 会計ソフトも進歩しています
会計ソフトを導入するメリット・デメリット
メリット
会計ソフトを導入するメリットとしては主に以下が挙げられます。
- 確定申告の負担が軽減する
- 税務会計の知識が必要ない
- 法改正に対応してくれる
- ミスを減らす事ができる
- 事業に活かすことができる
- 過去のデータをソフト内に保存して、すぐ引き出せる
- データをリアルタイムで共有できる(税理士に任せている場合)
といったメリットがあります。以下、詳しく見ていきましょう。
確定申告の負担が軽減する
会計ソフトを利用すると、難しい経理処理や細々とした処理が無くなります。
処理も日常の取引入力から確定申告とシンプルになるので、確定申告に対する苦手意識が少なくなるはずです。
会計ソフトによっては、銀行口座やクレジットカードを同期して自動で仕訳を入力してくれる機能があります。
また、レシートの写真を自動解析して仕訳を起こしてくれる機能などもありますので、使いこなせば時短を実現できます。
日常の取引入力が簡単でハードルが下げられるので、資料を溜め込まずに日常的に処理をする習慣がつくかもしれません。
freeeのように、自動でネットバンク等と連携し、自動で会計帳簿を作成し、青色申告書をワンクリックで作成、e-taxに入力しやすくなるソフトが増えています。
青色申告特別控除65万円を受けるためには複式簿記で青色申告書を作成しなければなりません。このためにも、会計ソフトの利用がおすすめです。
税務会計・簿記の知識が必要ない
日常の取引入力は使い方に慣れれば、勘定科目くらいの知識があれば可能です。
申告作業も各種質問に対し、回答をしていくだけでできます。
変更が無ければ昨年の内容をそのままで進めば良いので、慣れてくればほとんど知識がなくても確定申告が可能です。
弥生会計の簡単取引入力等、日付と金額を入力するだけで、自動的に仕訳を記帳してくれるので、簿記・税務会計の知識がなくても、申告書の作成がしやすくなっています。
法改正に対応してくれる
税務に関する法律は毎年改正があります。
それをしっかりと自分で把握をするのは大変ですし、現実的ではありません。
会計ソフトはアップデートをしっかり行えば、最新の税法改正を反映してくれます。クラウド型であれば、自動でアップデートされます。
改正の内容を知らせてくれたり処理画面が改正に対応して変わってくれるので、安心して毎年申告ができます。
消費税の税率変更やインボイス制度等、理解が難しい税法にも自動で対応してくれるので、正確に申告書を作成することができます。
ミスを減らす事ができる
個人で帳簿付けや申告書作成をしていると、どうしても処理のミスが発生します。
会計ソフトはミスを見つけてくれる機能がありますし、複式簿記での処理を自動でしてくれるのでミスが起こりにくくなります。
事業に活かすことができる
会計ソフトは日々の処理をしていくと、事業に役立つ収支や現金の流れなどのレポートを自動で作成してくれます。
通常は、確定申告書を作成した段階で、「なんとなく赤字なんだな」とか「昨年より売上伸びたな」くらいの理解になる事が多いと思います。
月々の処理を早めに処理をすることで、収支や現金の流れなどの情報をタイムリーに得ることができます。
さらに売上や経費の各項目のチェックまでできるようになると、事業に活きる部分が出てくると思います。
また、数字や会計の観点を持つことは、経営者として大事な事だと思います。
数字の観点で損得を考え事業判断をできるようになれば、個人事業主としての幅が広がると思います。
例えばfreeeで作れるレポート
- 入金管理レポート
- 支払管理レポート
- 収益レポート
- 費用レポート
- 損益レポート
- 現預金レポート
- 資金繰りレポート
過去のデータをソフト内に保存して、すぐ引き出せる
確定申告を毎年続けていると、過去の資料がたまって膨大になってきます。
事業をしていると、たまに過去のデータを確認しなければいけないときや確認したいときがあります。
そういった時に会計ソフトの過去のデータを簡単に引き出す事ができますので、楽ですし便利です。
過去の紙資料を出してきて、探す作業はなかなか大変です。
これは完全に筆者の個人的な考えですが、重要な資料などはスキャナーなどでデータ化しておくと同様に便利です。
紙の資料を電子保存すれば処分してしまっても良いという決まりもありますが、現状取り入れるには仕組み作りがなかなか大変です。
ご興味のある方は電子帳簿保存法について調べてみてください。
データをリアルタイムで共有できる(税理士に任せている場合)
税理士に記帳や確定申告を任せている場合、税理士の利用しているクラウド型の会計ソフトを使用すると、税理士のソフトとご自身のソフトを同期できます。
そうすると税理士に資料を持って行く作業などが減り、負担減を目指せます。
また、電話でやり取りして同じ画面を見ながら話をしたり、その場で修正したりとスピーディーな会計処理が実現できます。
顧客の資料を税理士が一から入力する作業が無くなるので税理士の負担減になり、顧問料の減額に繋げられる可能性もあります。
デメリット
続いて会計ソフト導入のデメリットです。
- 会計ソフトの費用がかかる
- インターネット環境が必要
- 最初から一人で完結することは難しい
やはり費用の問題がかかります。
会計ソフトの費用がかかる
クラウド版の会計ソフトですと、年額1万円くらい~の使用料がかかります。
初年度無料の会計ソフトもありますので、気になっている方はお試しいただくのも良いと思います。
パッケージ版の会計ソフトですと買い切りのものもありますが、シェアのある会計ソフトでは、パッケージ購入と別で年額更新料金がかかることもあります。インボイス制度や税率の変更、法改正があると、パッケージ型でもアップデートが必要となり、維持費・更新費用がかかってきます。
インターネット環境が必要
今主流のクラウド版の会計ソフトですと、使用にインターネット環境が必要になります。
オフラインで使える会計ソフトやスマホアプリ対応のソフトを選ぶと、こちらをカバーすることができます。
最初から一人で完結することは難しい
会計ソフトを導入して起動に乗るまでは、ソフトの使用方法や固定資産などの少し難しい処理など、一人で習得するのが難しい処理があります。
個人事業の確定申告の経験があり、ある程度知識に自信がある事業主の方でも初年度はサポート付きのプランにすることをおすすめします。
サポートが全くないプランなどは最初はあまりおすすめできません。
ただ、多くの会計ソフト会社のサポートは充実しており、マネーフォワードは無料でもチャットサポートを受けれます。満足度95%と、会計の知識のない方にも好評のサポートがあります。(参考:マネーフォワード クラウド会計の強みは「サポート」にあります)
また、税務上の質問は税務署や国税相談センターにすることになります。
当サイトでも「会計ソフトの使い方を解説(freeeの事例)」等、会計ソフトの使い方を解説していますので、参考にしてください。
会計ソフトを導入し、青色申告の65万円控除を利用しよう!
個人事業主には65万円の所得控除の制度があります。
税率によってどれだけの節税効果があるかは変わってきますが、利益が無条件で65万円減る制度です。
本業として事業を行っている方にとっては、利用しない手はありません。
個人事業主の青色申告には以下の4つの要件があります。
①複式簿記での記帳
②確定申告書への貸借対照表と損益計算書の添付
③期限内に申告
④e-Taxで申告又は優良な電子帳簿の保存
(参考サイト https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm:国税庁タックスアンサーNo.2072)
③「期限内に申告する」は努力すれば可能ですので、残りの3つを満たす事が必要になってきます。
税理士にお任せする際は65万円控除が取れるように作成してくれると思いますので、自分で処理する時には注意が必要です。
①「複式簿記での記帳」とは、
消耗品費 100 / 現金 100
などの仕訳で全ての取引を帳簿に記載するという事です。
そのためには会計ソフトを利用して日々の取引を入力するか、専門家に教えてもらってエクセル・手書き等で記載するかの2択になります。
会計ソフトには現金取引という前提で、日付・勘定科目・金額・取引先・取引内容を記載していくかんたんな入力方法もあります。
②「確定申告書への貸借対照表と損益計算書の添付」ですが、会計ソフトを利用すると自動で仕訳を集計して作成してくれます。
もしくは、専門家の助言を受けて自分で作成するかになります。
④「e-Taxで申告又は優良な電子帳簿の保存」ですが、優良な電子帳簿の保存は現状請求書等を全てスキャナ保存したりとハードルが高いので、e-Taxで申告するのが簡単です。
税理士にお任せしたり会計ソフトで申告すると、e-Taxでの申告になります。
自分で申告書を作成する方はご自宅のパソコンでe-Taxのサービスを使って、その申告書を入力し提出するような形になります。
青色申告をしたい方にとって、会計ソフトは大きな手助けになります。
自分で白色申告をする際は10万円控除となります。
白色申告は簡単な書類で申告ができますが、会計ソフトなしで税務署の確定申告相談会などに通って作成するのはなかなか大変です。
白色申告の会計ソフトは無料のものもありますので、そこから始めてみてはいかがでしょうか。
会計ソフトも進歩しています
「会計ソフト」と聞くと難しそうと感じる方が多いと思いますが、シンプルな作りで高機能なソフトが増えてきています。
白色申告の方は無料でフルに使える会計ソフトもあります。
手書きやエクセルで確定申告をまとめている方は、確定申告の負担を減らすことができると思うので利用してみてはいかがでしょうか。
ソフトに慣れてきて青色申告もできそうだと思ったら、65万円控除を目指す事もできます。
自分で処理をしていて青色申告をしている方、青色申告を目指したい方はソフトを使う事が近道になると思います。
さらに入力をすることで経営に関するレポートを自動で作成してくれるので、経営状況を正確にタイムリーに知ることで事業に活かすことができるはずです。
1年無料になるソフトがほとんどですので、試してみるのも良いと思います。
日々の取引入力は事業の家計簿をつけるのと同じで、収支の一つ一つをしっかり認識する作業は事業に活きてくると思います。
会計へのハードルを下げる事が、事業を楽しく行うことにつながるのではないかと思います。
会計ソフトを導入したいと考えている事業者様はお気軽にお問い合わせくださいませ。
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