税理士講座を選ぶ受験者が一番後悔するのは、「人気がある講座」を選んだことではありません。

受験者が後悔する原因は、受験者の生活(仕事・家庭・通勤)と、講座の学習スタイル(通学・通信・スマホ)が噛み合っていないことです。

税理士試験は科目合格制なので、学習を継続できないと、翌年以降の計画も簡単に崩れます。

この記事では、会計事務所の実務で受験者を見てきた立場として、税理士講座を「自分に合う1社」に絞れるように、試験の前提→選び方→主要講座比較→最終ジャッジの順で、具体的に解説します。

税理士試験の前提【ここを理解すると、講座の見方が変わる】

講座選びがフワッとする原因の7割は、試験の構造(科目合格制)を“生活設計”に落とし込めていないことです。

1)税理士試験は「5科目合格」の積み上げ型

税理士試験は、合格に必要な科目が決まっています。

  • 会計学2科目:簿記論・財務諸表論(この2つは必須)
  • 税法3科目(ただし選び方に条件あり)

合計 5科目に合格すると、試験合格です。
ここで重要なのは、「5科目を1年で取る試験ではない」という点です。多くの人は、1科目ずつ、または2科目ずつ積み上げます。

だから講座を選ぶときも、今年だけ見てはいけません。
来年以降も現実的に続けられるか(費用・学習時間・モチベ)が、最終的に効いてきます。

2)税法3科目は「何でもいい」ではない(法人 or 所得が必須)

税法3科目の中には、法人税法または所得税法を1科目入れる必要があります。
ここがズレると、あとで科目の組み直しが起きます。

よくある失敗はこれです。

  • 簿財に集中している間に「税法は後で考える」と放置する
  • 2〜3年後に税法へ移ったとき、法人・所得の重さにびっくりして計画が破綻する

講座選びの時点で、少なくとも「税法は法人か所得、どちらを軸にするか」だけは、ぼんやりでも想定しておくと失敗が減ります。

3)合格基準は「60%」だが、体感は“答案勝負”

公式には「満点の60%」が基準です。

ただ、税理士試験は “解ける問題を落とさない”“書ける理論を確実に取る” が大きく効きます。

講座選びで見るべきポイントがここで決まります。

  • 講義がわかりやすい(だけ) → 不十分
  • 問題演習の量と回しやすさ → 合否に直結
  • 直前期の答案作り(時間配分・取捨選択・理論の型) → 合否に直結

つまり、あなたが選ぶべき講座は「講義が良い講座」ではなく、演習を現実に回せる講座です。

4)科目合格は“残る”が、気持ちは簡単に折れる

科目合格が残るのはメリットです。
ただし、精神面ではこうなりがちです。

  • 1科目落ちる
  • 次の年は同じ科目をやり直し
  • 学習が長期化して、生活がしんどくなる
  • “今年こそ”のプレッシャーが増えて、崩れる

だから講座は、落ちた年でも立て直しやすい設計(再受講・割引・カリキュラムの戻しやすさ)があるほど、長期的には強いです。

税理士講座の選び方【ここだけで9割決まる】

比較表を見る前に、あなたの中で判断軸を固定します。

ここが曖昧だと、どこも良く見えて終わります。

判断軸1:今年は「1科目」か「2科目」か

  • 平日が残業で潰れやすい → 1科目が無難
  • 平日も2〜3時間取れる+土日も確保できる → 2科目も現実的

2科目は強いですが、条件を満たしていないと「両方中途半端」になりやすいです。
あなたが忙しいなら、1科目で確実に合格を積むほうが、結果的に早いこともあります。

判断軸2:通学が続くか、通信が続くか(ここは性格で決める)

  • 通学が向く人:家にいるとダラける/環境を固定すると強い
  • 通信が向く人:自分で予定を組める/週のルールを守れる

「通学のほうが質が高い」という話ではありません。
続くほうが勝ちです。

判断軸3:あなたが“演習”を回せる形かどうか

あなたが本当に必要なのは、次の3点です。

  • 問題を解く量が足りる
  • 復習が回る(間違いの原因が潰れる)
  • 直前期に「点になる形」で答案が仕上がる

ここまで面倒を見てくれる講座は、最終的に強いです。

税理士講座おすすめ【主要予備校5社】特徴を紹介

ここからは、よく名前が上がる5社を、良いことも悪いことも含めて書きます。

1)TAC:迷いにくい。長期戦の“立て直し”がしやすい

TACの強みは、講義の良さよりも 「受験生活の設計がしやすい」 ことです。
税理士試験は長期戦になりやすいので、TACのように制度や学習ルートが整理されている講座は、最後に効いてきます。

TACが合う人

  • 講座選びで迷いたくない
  • 何をどの順番でやればいいか、道筋を用意してほしい
  • 落ちた年でも、立て直して続けたい(ここが意外と重要)

TACが合わない人

  • 自分のペースで好きに進めたい
  • 通学がしんどい(移動がストレス)なのに通学前提で選ぶ
  • 「動画を見るだけ」で満足しやすい(演習が抜ける)

一言でまとめると
TACは、あなたが“迷って止まる”タイプなら強いです。
逆に、あなたが“運用を作るのが得意”なら、他の選択肢も十分あります。

2)大原:通学・映像・Webの選択肢が多く、生活に合わせやすい

大原の良さは、シンプルに 選択肢が多い ことです。
税理士試験は生活が変わりやすい(転職・異動・残業増・家族イベント)ので、「途中で学習スタイルを変えられる余地」は強いです。

大原が合う人

  • 通学か通信で迷っている
  • 学習環境を作るのが苦手なので、まず型を作りたい
  • 価格・受講形態を公式資料で比較して、納得して決めたい

大原が合わない人

  • 通学の移動が重いのに、勢いで通学を選んでしまう
  • 自宅学習にした途端、講義視聴だけで終わる(演習が抜ける)

一言でまとめると
大原は、「続ける形」を作りやすいです。
あなたが“生活に合わせて最適化したい”なら相性が出ます。

3)スタディング:忙しい人の現実解。継続の壁が低い

スタディングは「スマホ学習」を軸に、続けやすさを強く作っています。
忙しい社会人にとって、最大の敵は難問ではなく “学習が止まること” です。止まりやすい人ほど、スタディングは刺さります。

スタディングが合う人

  • 机に座れる日が少ない
  • 通勤やスキマ時間を積み上げたい
  • まず学習を習慣にしたい(ゼロ→1を作りたい)

スタディングが合わない人

  • 演習をまとめてやらないと理解が深まらない
  • スマホだけだと集中できない
  • 「見た=やった」になりやすい

勝てる使い方(重要)
スタディングを選ぶなら、あなたは 週1回でいいので“問題を解く日”を固定してください。
スマホ学習は“講義”が進みますが、税理士試験は“答案”が必要です。演習の置き場を作るだけで、強さが一段上がります。

4)クレアール:コスパ重視の通信。自走できる人が強い

クレアールは、通信でコストを抑えつつ続けたい人に向きます。
税理士試験は長期化しやすいので、「費用が理由で続けられない」は避けたいところです。

クレアールが合う人

  • 自分で週の学習ルールを作れる
  • 通信で淡々と続けられる
  • 価格を抑えつつ、必要十分を取りに行きたい

クレアールが合わない人

  • 強制力がないと止まる
  • 復習のルールが作れない
  • 直前期の追い込みで毎年バタつく

一言でまとめると
クレアールは、“通信で回せる人”が選ぶとコスパが出ます。
あなたが運用を作れるなら、かなり有力です。

5)LEC:科目単位で組みたい人の候補。ハマる人にはハマる

LECは「この科目だけ欲しい」「このタイミングで追加したい」など、科目単位で組みたい人に向きます。
全部を1社で固めるより、状況に合わせて部分的に選びたい人には選択肢になります。

最終ジャッジ:あなたはどれを選ぶべきか(ここで決めていい)

ここは、あなたが一番知りたいところだと思います。
結論を、タイプ別にきっぱり書きます。

迷いやすい人・計画を立てるのが苦手な人 → TAC

あなたが「比較しても決められない」タイプなら、TACは相性が出やすいです。
あなたが迷って止まる時間が減るだけで、合格確率は上がります。

通学と通信で迷う人・生活に合わせて続けたい人 → 大原

あなたが「途中で生活が変わりそう」なら、大原の柔軟さが効きます。
あなたが続け方を作れるほど、勝ちやすくなります。

忙しくて机に座れない人・まず習慣化したい人 → スタディング

あなたが学習を止めやすいなら、スタディングは現実的です。
ただしあなたは、週1回の演習日だけは固定してください。ここを守れば強いです。

コスパ重視で通信を回せる人 → クレアール

あなたが自己管理できるなら、クレアールはかなりアリです。
あなたが運用を作れるほど、費用面のメリットが効いてきます。

科目単位で追加したい人・組み合わせたい人 → LEC

あなたが「全部一括」より「必要なところだけ」で考えたいなら、LECは検討枠になります。

おすすめ税理士講座・予備校を比較表

講座 学習形式 料金目安(税込) 強いところ 弱いところ 向いている人 講評 公式リンク
通学/Web 簿財パック(1年例)410,000円 U22(同例)390,000円 ※年度/校舎/形態で変動 コース体系が整理されていて、科目合格制の長期戦でも計画が立てやすい。迷いが減るため、学習が止まりにくい。 科目・受験回を決めずに申し込むと消化不良になりやすい。復習日がないと講義が積み上がりやすい。 計画を迷いたくない人/型に沿って進めたい人/複数年で積み上げたい人 迷いを減らして走れるのが強み。科目と週の演習時間を先に決めると失敗が減る。
大原 公式
通学/映像/Web 簿財一発合格パック(例)398,000円 簿財短期合格パック(例)298,000円 ※開講月/形態で変動 通学/映像/Webの選択肢があり、生活に合わせて続け方を作りやすい。料金資料が整理されていて比較しやすい。 通学は移動が負担になると継続が崩れる。Webでも演習日を固定しないと視聴中心になり点が伸びにくい。 通学か通信で迷う人/環境を変えながら続けたい人/公式資料で納得して決めたい人 続け方を作りやすいのが強み。通学が重い場合はWeb寄せで運用を固めると安定する。
スタディング 公式
スマホ中心 1.5年3科目(例)138,000円 フル版(例)218,000円 ※パック/時期で変動 スキマ時間で学習が止まりにくい。忙しい社会人でも学習の再開ハードルが低い。 視聴中心で満足しやすい。週1回でも「問題を解く日」を作らないと、理解が浅いまま進みやすい。 机に座れる時間が少ない人/まず習慣化したい人/短い時間を積み上げたい人 継続の強さが武器。週1回の演習時間を固定できる人ほど成果が出やすい。
クレアール 公式
Web通信 1年3科目(例)355,000円 割引例(時期限定)237,850円 ※割引は時期で変動 費用を抑えつつ継続しやすい。通信で淡々と回せる人はコスパが出やすい。 自己管理が弱いと遅れが拡大しやすい。週の学習ルール(演習日・復習日)がないと止まりやすい。 通信でも継続できる人/コスパ重視の人/学習ルールを守れる人 運用を作れる人が選ぶと強い。最低学習時間と演習日を先に固定すると安定する。
Web中心 簿財横断 速習(例)187,000円 講座単体(例)107,800円 ※商品/年度で変動 科目単位で組みやすく、必要なところだけ足したい人に向く。タイミングに合わせて取り回しがしやすい。 全体設計を作らないと、科目の組み合わせで迷いやすい。学習計画は自分で固める必要がある。 科目ごとに選びたい人/部分的に追加したい人/自分で計画を作れる人 部分最適で組みたい人向け。科目戦略を先に決めると迷いが減る。

※料金は代表例です。科目・開講月・学習形態・割引で変動するため、最新は必ず公式で確認してください。

参考リンク(公式)

著者情報

早川覚
早川覚公認会計士・Context会計事務所代表
公認会計士、Context会計事務所・株式会社ContextJapan代表として、会計ソフト導入支援、コンサルを行っている。その他、法人化、バックオフィス整備等、経営者の裏方業務を専門としている。